依佐美送信所

愛知県刈谷市(旧:碧海郡依佐美村)の依佐美送信所は日本初の対ヨーロッパ無線通信施設として、IEEEよりマイルストーンに認定されました。

依佐美送信所とは?

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建築概要

 依佐美送信所は、完成当時まだ珍しい鉄筋コンクリートの建物でした。
アーチ型が美しい本館は、半田市出身の建築家、竹内芳太郎による設計で、細部にわたり美しい装飾が施されていました。

工事風景

 送信所を建設するにあたり、資材運搬のため1927年に三河鉄道(現在の名古屋鉄道)小垣江駅から約2.4kmの専用鉄道が敷設されました。この専用鉄道は、翌年に撤去されました。
 工事は「アース工事」「空中線・アンテナ塔工事」「本館・送信機室工事」に分けられて実施され、延べ10万人が工事にあたったといいます。

本館・送信機室

 本館は旧逓信省の建築様式を踏襲しており、塔屋とよばれたアーチ型が特徴の近代的な建物でした。
正面玄関のドア上部にはステンドグラスが、床にはカラータイルがはめこまれ、壁や天井の照明部分にも装飾が施されていました。
 送信機室内は巨大な発電機、電動機、コイルなどが現用と予備の2組が並び、送信所というより発電所のようでした。
 

アンテナ鉄塔

 8基の高さ250mの鉄塔は、絶縁支線式三角鉄塔でした。基礎コンクリート上に絶縁碍子を置き、その上に台座の鉄球支承があり、この球支承1点で鉄塔本体を支えています。鉄塔本体の先端部は、三角錐となっていて、その頂点に、台座支承の鉄球に被さるようなお椀型の支承が取り付けられています。鉄塔が強風であおられても、その荷重は鉄球支承の一点で受けるため、台座に荷重を均等に分散させることができきました。
 また、1.8km、約150トンの重さになる6段3方向のワイヤー(支線)で支えられていました。
 ワイヤーは6段目(一番上部)が最も太く、5段目、4段目と細くなり、中間部分に碍子を取り付けて地面と絶縁し、アンテナ効率の向上と安全性が図られていました。
 依佐美送信所記念館のジオラマで当時の依佐美送信所の全容をみることができます。

建築DATA

本館・送信機室
設計:竹内芳太郎(三協土木建築事務所)
建設:大林組

アンテナ鉄塔
設計:楠仙之助(日本無線電信技師)
製造:石川島造船所(現IHI)
建設:大倉土木(現大成建設)