IEEEマイルストーンへの道
IEEEマイルストーンの認定
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)とは電気電子技術者協会という世界的な組織です。同団体が電気・電子・情報・通信の分野で技術的な成果として、産業や社会に多くの貢献を認められた歴史的な業績を評価するものです。マイルストーンは「道標」「道しるべ」という言葉ですが、技術の進歩の中で特色ある技術として新しい道を切り開いてきた、というような意味があります。
マイルストーン認定の条件
その技術や機械、施設などにより成果が出て25年以上を経過していること。世界初、世界一というのではなく、技術的に優れていて地域社会や産業の発展に貢献し、インパクトを与えたことなどが必要です。
マイルストーン認定の意味
IEEEマイルストーンは電気の技術分野における「ノーベル賞+世界遺産」ともいわれています。対象が科学的技術的に非常に優れたものであることに加えて、技術遺産あるいは産業遺産として社会的かつ文化的な性格を有していることが求められます。電気・電子・情報などの技術の進歩は早く、我々の生活を大きく変えていますが時間と共にそれが日常となり、そうした技術の優れた面や恩恵が忘れられてしまうこともあります。
同時に、苦労してこうした技術を生み出したエンジニア、企業などの組織体の功績を正当に評価し、世界中から認められるようにしようという目的があります。歴史的に重要な事物や場所の保存を奨励することもめざしています。
IEEE(電気電子技術者協会)とは
もともとはアメリカの電気学会であるAIEE(1884年創立)と無線学会のIRE(1912年設立)が1963年に合併して誕生した組織。会員総数40万人ほどで電気・電子・情報・通信などの分野の学会で、ニュージャージー州ラトガース大学に拠点があります。この組織の中に歴史センターがあり、社会に貢献した功績の表彰制度として1983年にElectrical Engineering Milestone Program(電気技術の歴史的記念物制度)として創設されました。
日本のIEEEマイルストーン
マイルストーンは全世界で約101件あり、日本はアジア・太平洋地区のリージョン10に属しこれまでに認定されたのは15件で、すべて日本です。
2011年現在、日本のマイルストーン
受賞テーマ | 対象年 | 贈呈式年月日 |
---|---|---|
八木・宇田アンテナ | 1924年 | 1995年 |
フェライト開発・応用 | 1930年~1945年 | 1995年 |
富士山レーダー | 1964年 | 2000年 |
東海道新幹線 | 1964年 | 2000年 |
電子式水晶腕時計 | 1969年 | 2000年 |
電卓の先駆的開発 | 1964年~1973年 | 2005年 |
家庭用ビデオVHS | 1976年 | 2006年 |
鉄道自動改札 | 1965年~1971年 | 2007年 |
日本語ワープロ | 1971年~1978年 | 2008年 |
依佐美送信所 | 1929年 | 2009年 |
高柳テレビジョン | 1924年~1941年 | 2009年 |
太平洋横断衛星テレビ中継 | 1963年 | 2009年 |
黒部第四発電所 | 1956年~1963年 | 2010年 |
太陽電池の商業化及び産業化 | 1959年~1983年 | 2010年+ |
NHKの衛星放送 | 1984年 | 2011年 |